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モバイルバッテリー(リチウムイオン2次電池)の発火事故のニュースが頻繁に発生しています。
事故の影響で飛行機でのモバイルバッテリーの持ち込みや使用の規定が変更になりました。
何故、モバイルバッテリーの発火事故が発生するのか?
購入する時に気を付ける点は?どのような基準で選べば良いのか?
使用する際の注意事項は?
モバイルバッテリーの開発に10年近く携わっているMOTTERUの技術担当が解説します。
※以下、リチウムイオン2次電池をLi-ion 2次電池、リチウムイオンポリマー2次電池をLi-ion polymer 2次電池と略します
Li-ion 2次電池の構造
Li-ion 2次電池の内部は
・薄い正極(100umくらい)
・薄いセパレーター(10~20umくらい)
・薄い負極(100umくらい)
が重ねられてグルグルと巻かれた構造になっています。
これらの間に電解液が入っています。
車のバッテリーのようにタプタプの電解液の中に電極が挿さっているようなイメージをしている方が多いと思います。
私も図で説明する時は、このような図で説明しています。

この図で見ると液体が大量にある中に電極が入っているように思います。
でも、実際はそうではないです💦
実際は、電極やセパレーターがグルグル巻かれた隙間に電解液が注入されています。電解液の量は少ないのです。
10000mAhのモバイルバッテリーに搭載しているLi-ion 2次電池の電解液の量は10~20g程度です。
たった10~20gしかないのに発火すると大きな火を出す。それがLi-ion2次電池です。
ここまでの説明を図にしてみます。
落下などの衝撃で発火するのは、セパレーターと呼ばれる正極と負極を分離する薄いシートが衝撃で破れることが原因です。
セパレーターは10~20umととても薄いです。(スーパーのレジ袋が20umくらいだと思って比較してください。)
落下させたくらい大丈夫だろうと思わず大切に扱ってください。
Li-ion 2次電池の発火事故は何故発生するのか?
先ほど説明した電解液ですが、揮発性かつ可燃性です。
主な成分は、「リチウム塩」+「有機溶媒」+「添加剤」です。
この中の80%~90%を締めている「有機溶媒」が揮発性かつ可燃性なのです。
一般的にLi-ion 2次電池はエネルギー密度が高い!と言われていますが、どのくらいいでしょう。
実はガソリンの方が圧倒的にエネルギー密度は高いです。
Li-ion 2次電池:約 250〜700 Wh/L
ガソリン:約 9,000 Wh/L
エネルギー密度は、約10〜30倍 ガソリンが上です。
ただし、発火するという点でみると
ガソリンは エネルギーは大きいが、通常は安定(点火しないと燃えない)
Li-ion 2次電池はガソリンと比較すると エネルギーは小さいが、安定度が低く内部で暴走(熱暴走)しやすい
という特徴を持っています。
小さい中に高エネルギーを搭載し、熱暴走が発生しやすいことがLi-ion 2次電池の特徴です。
熱暴走。聞きなれない言葉だと思います。
簡単に説明しますと(簡単ではないですが)
「発熱が次の発熱を呼ぶ連鎖が止まらなくなる状態のこと」を熱暴走と呼びます。
Li-ion 2次電池の中で起こる熱暴走を説明します。
要因発生(内部短絡、過充電、過放電、外的要因、などなど)
⇒
内部で異常発熱が発生する
⇒
温度上昇により電解液や電極材料の分解が発生する
⇒
電解液や電極材料の分解によりさらに温度上昇する
⇒
温度上昇により電解液や電極材料の分解がさらに発生する
⇒
さらに温度上昇する
⇒
この動作が繰り返されます。
このように発熱によって電解液や電極材料の分解が発生し更に発熱が発生し、どんどん発熱が加速することを熱暴走と呼びます。
異常発熱が発生する要因にはいくつかあります。
落下や圧壊によるセパレーターの破れ
製造時の金属異物混入(”コンタミ”と言います)
使用中のデンドライト生成(リチウムの針状成長)
Li-ion 2次電池の規定電圧以上で充電すると正極が不安定化となり、酸素を放出します。
ただし、モバイルバッテリーで過充電が発生することはほぼありません。(過充電が発生するのは設計や品質の悪い物だけです)
残量が0%の状態で長期間放置することで過放電状態になる可能性があります。
過放電状態になると電極構造が崩壊し、再充電時に内部ショートが発生する可能性があります。
落下や圧壊などの強い衝撃。
車内放置などの高温環境。
水分侵入。
製造時の金属異物混入(”コンタミ”)
材質の不良(セパレーターを薄くしすぎなど)
巻きズレ
などなどです。
製造不良はどうしようも出来ないですが、その他の異常発熱要因に注意することでかなりの発火事故を減らせると思います。
何故、飛行機の機内で発火事故が発生するのか?
飛行機でモバイルバッテリー(Li-ion 2次電池)の発火事故が続き、規制が厳しくなりました。
何故、飛行機でモバイルバッテリー(Li-ion 2次電池)の発火が発生するのでしょう?
飛行機が高度をあげた際の気圧変化そのものが直接の原因でLi-ion 2次電池が発火することはほぼありません。
ただし、低気圧や急激な気圧変化が“間接的にLi-ion 2次電池の発火リスクを上げる”ことはあります。
発火の本質はこれまで説明してきた通り
内部短絡、過充電、過放電、外的要因
など、いずれもLi-ion 2次電池内部の電気・化学反応で発生するため、外の気圧だけでいきなり発火することは基本的にありません。
では、何故飛行機でモバイルバッテリーが発火するのか?可能性として考えられることは
モバイルバッテリーを裸で持ち運び
端子にコインや鍵がなどの金属が接触
⇒
大電流が一気に流れる
⇒
発熱 → 発火
※裸のLi-ion 2次電池や端子が見えるカメラなどの予備電池ならありえますが、モバイルバッテリーではほとんど無いと思います。
座席で踏む
荷物に押しつぶされる
スーツケース内で圧迫される
⇒
セパレーター損傷
内部短絡
⇒
時間差で発火
機内USBで充電やスマートフォンの充電
ケーブル不良・コネクタ緩み
⇒
接触抵抗発熱
過電流
⇒
バッテリー温度上昇 → 発火
※直接要因としてはほとんど無いと思います。膨張・劣化セルを使用した場合はあります。
膨れているのに使い続ける
古いバッテリーを使う
⇒
内部ガス発生済み
電極の被膜崩壊
⇒
充電や衝撃で一気に暴走 → 発火
長期間放置し0V近くまで放電したバッテリー
⇒
銅溶出 → 再充電で析出→ 内部短絡 → 発火
保護回路不良
Li-ion2次電池の製造品質が悪い
⇒
内部ガスの発生
異物混入
過充電・ショート防止が効かない
⇒
充電や衝撃で一気に暴走 → 発火
上記は飛行機に限らず、通常のLi-ion 2次電池の発火要因でもあります。
事故の後に分析をしても、実際にはどのような状況で発火したか詳細な解析は難しいのです。
なぜなら、Li-ion 2次電池が発火すると解析が出来ないくらい燃えてしまうからです。
私が想像する飛行機でモバイルバッテリーが発火する現象は、
・劣化もしくは膨張したモバイルバッテリーの持ち込み
・高度上昇による気圧低下。内部ガスの膨張
・カバン内での圧迫
などの複数の要因が重なって発火しているのではないかと想像します。
長期間使っていないモバイルバッテリーや古いモバイルバッテリーは使わない。
モバイルバッテリーは良い物を購入する。
などを心掛けることで事故は減らすことが出来ると思います。
良いメーカーのモバイルバッテリーを購入しましょう
過去10年分458件のモバイルバッテリーのリコール情報を調べました。
その結果、傾向として
有名なスマホアクセサリーメーカー製:27%
あまり知られていないメーカー製:47%
メーカー不明:26%
(※有名なメーカー、あまり知られていないメーカーは私の主観で判断させていただきます)

有名なスマホアクセサリーメーカーは販売数が多いはずなので、事故の確率が一定だとすると事故件数が多くなるはずですが、結果としては27%です。
あまり知られていないメーカーやメーカー不明の物を購入することを控えることで、70%近くの事故を回避することができます。
Li-ion polymer 2次電池:53%
乾電池タイプのLi-ion 2次電池:18%
種別不明:27%
発火などの事故ではない:2%
Li-ion polymer 2次電池と種別不明を足すと80%になります。
これには理由があると思います。
Li-ion polymer 2次電池は製造が簡単ですが、乾電池タイプのLi-ion 2次電池と比較して生産量が少ないです。
製造が簡単で生産量が少ないということは、製造の品質が上がりにくい(品質が良くない)ということなり事故に繋がりやすくなります。
また、Li-ion polymer 2次電池は価格も安くできるため安価な製品に搭載されることが多いです。
つまり、安いモバイルバッテリーには品質のよくないLi-ion polymer 2次電池が搭載されている可能性が高くなります。
あまり知られていないメーカーやメーカー不明の70%は、安いLi-ion polymer 2次電池を搭載している可能性が高いのです。
Li-ion polymer 2次電池は、”液漏れしない”というのが信じられていました。
それがLi-ion polymer 2次電池の安全神話だったのです。
しかし、Li-ion polymer 2次電池も液漏れします。固体ではないのですから。
液漏れした際の現象が乾電池タイプのLi-ion 2次電池と異なるだけです。
Li-ion polymer 2次電池は
・膨張するので異常が確認できる
・激しい破裂が発生しにくい
・外力・圧迫に弱い
・巻きズレや層ズレの影響を受けやすい
・膨張→内部構造崩れ→短絡が発生しやすい
という特徴があります。
乾電池タイプのLi-ion 2次電池は
・熱に強い
・衝撃に強い
・製造技術が成熟(乾電池由来)
・鉄缶で覆われ強固な分、発火した時は激しい
が特徴です。
残念ながら、データから判断するとLi-ion polymer 2次電池の方が事故が多いと判断できます。
それは、先ほど述べましたようにLi-ion polymer 2 次電池の方が製造が簡単で低コストで作れ、製造品質が良くない物が多いことによると思います。
もちろん品質の良いLi-ion polymer 2次電池もあります。それらは少し高額になるため低価格なモバイルバッテリーには搭載されないことが多いのです。
ですので、良いメーカーのモバイルバッテリーを購入しましょう。
良いメーカーとは?
良いメーカーって何?どうやって選べば良いの?
サクラレビューもあるのでレビューの多い少ないでは良いメーカーの判断は難しいです。
※サクラレビュー:ネット通販やサービス評価において、実際には購入・利用していない第三者や報酬を得た者が、商品を良く見せるために投稿する「やらせ(虚偽・誇張)」のレビューのことです。
良いメーカーの選択基準とは?
私が思うモバイルバッテリーの良いメーカーの選択基準は
LINE、電話、メール、Chatなど日本語のサポートがあること。
サポートがしっかりしているところで購入しましょう。
保証期間が長いのは、製品に対する自信の表れだと思います。
3カ月保証や半年保証の製品より、1年~2年保証など長い保証の製品を選びましょう。
良いメーカーは、使用後の廃棄まで考えています。
JBRCに加入。もしくは自社の回収プログラムを持っていたりします。
JBRCで回収するためには、審査があります。
JBRCの回収対象であることは一定の品質が保証されているとも言えるのです。
JBRC加入メーカーを確認するにはこちらで確認できます。

家電量販店や携帯電話SHOPで販売するにも一定の審査があります。
家電量販店や携帯電話SHOPで販売している点も選ぶ基準になります。
逆にECサイトだけしか販売していない安いモバイルバッテリーはよく調べてから購入しましょう。
リコール情報も確認してみましょう。
購入しようとしている製品は大丈夫か?メーカーは信頼できるメーカーか?
確認してから購入しましょう。
※リコールに対してしっかり対応しているのも良いメーカーの選択基準だと思います。
日本でモバイルバッテリーを販売するには〇PSEマークが必要です。

画像引用元:経済産業省-電気用品安全法
〇PSEマークをつけるには、試験機関(もしくは自社)で試験をして合格する必要があります。
試験項目はかなり多く、試験に合格していることで最低限の法的安全基準はクリアしている製品だと言えます。
しかし、実は〇PSEは認証制度ではありません。〇PSEは自己申告のため、
・試験に合格した試験レポート
・検査記録の作成・保管
・製造/輸入事業者の届出
があれば、〇PSEマークをつけることができます。
(言い方が悪いですが、偽の書類でも〇PSEマークをつけることができます)
実際にリコールになっているモバイルバッテリーの大半に〇PSEマークはついているはずです。
〇PSEマークは最低限の法的安全基準はクリアしていますが、絶対安心の材料にはならないと覚えておきましょう。
ここに書いた条件でメーカーを選んで購入したら値段が高くなる!と思われるかもしれません。
しかし、事故が起きてしまってから「もう少し良い物を買えば良かった」と思うより少し高い物を購入するようにしましょう。
発火した際はどうすれば良いのか?
詳細は、東京消防庁の住宅でも注意!リチウムイオン電池関連火災をご覧ください。
モバイルバッテリーの発火を鎮火する様子なども収録されていますので参考になります。
私から絶対に正解な回答はできません。あくまで参考として
●まず自身の安全を確保しましょう。これは絶対です。
●モバイルバッテリーが火を出した際、少量の水では消火できません。大量の水で消化しましょう。
消火器などで消すのも有効です。
●発火して30秒ほど最大で燃え(”炎上”とします)、その後火は少し緩やかになります。
”炎上”している間に周囲に燃え広がりそうであれば、直ちに火を消す作業を行いましょう。
”炎上”で周りに火が広がらないのであれば、”炎上”が収まり火が緩やかになるのを待って消化活動をした方が早く鎮火します。
●火が消えても安心しない
火が消えても500℃くらいの温度を維持しています。また再発火する可能性もあります。
鎮火したら、バケツに水をはり投入する。ここまですれば安心です。(500℃近いので絶対に素手では触らない)
※最初からバケツに投入するのは、火が出ている最中は危険なのでやめましょう。
●”炎上”による延焼を抑える
”炎上”により一気に火がでて、それが広がることがLi-ion 2次電池火災の怖いところだと思います。
よって、火が出ても燃え広がらない環境で充電を行うのが大切だと思います。
カーテンの近く、洋服の近く、寝具の近く、デスクの紙の近くなどを避け、発火した時に火が広がらない場所で使用することが大切だと思います。
あくまで参考です。ご自身の安全を確保したうえで対処してください。
まとめ
モバイルバッテリーなどのLi-ion 2次電池搭載製品は危ないのか?
私が思うに
・サポートの体制がしっかりしている
・保証期間が長い
・廃棄を考慮した製品である
・家電量販などでも販売している
・リコール情報を確認する
などで調査を行いましょう。
異常発熱になる要因で説明しました
・過充電
・過放電(0%のまま長期間放置しない)
・外的要因(高温環境を避け、落下や圧壊、水没などに注意する)
など注意しましょう。
事故が発生した際は、慌てずご自身の安全を第一に、適切な消火対策を行いましょう。
また、発火した際に火災が広がらないような環境で使用することも大切です。
このような点に注意することで、事故の防止や事故の発生に備えることができると思います。
また、近年は安全なLi-ion 2次電池として準固体電池(半固体電池)を搭載したモバイルバッテリーも増えてきています。
準固体電池を搭載したモバイルバッテリーを選択するのも一つの選択だと思います。
MOTTERUのモバイルバッテリーは、製品企画、設計段階の仕様のチェック、動作テストを日本国内で行っています。
安心・安全にお使いいただけます。
準固体モバイルバッテリー 10,000mAh 全2色 2年保証(MOT-MBSS10002)

【株式会社エディオン限定】準固体モバイルバッテリー 10,000mAh (EAN-MBSS10001)

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