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リチウムイオン2次電池は1種類じゃない!種類と特徴を解説

以前に リチウムイオン2次電池は何故危ないのか? というコラムを記載しました。

このコラムでは、発火や熱暴走の仕組みを中心に解説しましたが、実はあえて「リチウムイオン2次電池」や「リチウムイオンポリマー2次電池」の違いについては詳しく説明しませんでした

その理由は、この内容まで盛り込むと、コラム全体が非常に長くなってしまうためです。

そこで今回は、「リチウムイオン2次電池」と「リチウムイオンポリマー2次電池」の違いや、さまざまな種類のリチウムイオン2次電池について、MOTTERUの技術担当が解説します。

※以下、リチウムイオン2次電池をLi-ion 2次電池、リチウムイオンポリマー2次電池をLi-ion polymer 2次電池と略します。

 


2次電池の分類

まず 2次電池 とは何でしょうか?

2次電池とは、電気を蓄えて繰り返し使用できる「充電式電池(バッテリー・蓄電池)」のことです。

(1次電池とは、乾電池などの使い捨ての電池のことです。)

2次電池と呼ばれるものには、

  • Li-ion 2次電池
  • Li-ion Polymer 2次電池
  • リン酸鉄リチウム2次電池
  • 三元系リチウム2次電池
  • 準固体2次電池、半固体2次電池
  • 全固体2次電池

など、さまざまな種類があります。

「こんなに種類があるの?」と思われるかもしれませんが、実はこれらはすべて別々の電池というわけではありません。

呼び方の違いは、「形状」「電極材料」「電解質」など、分類する基準が異なるためです。

 

これらを大きな分類で分けると

  • 形状による分類
  • 正極材料による分類
  • 電解質の違いによる分類

の3つで分類されます。

そしてLi-ion 2次電池は、「形状」「正極材料」「電解質」の3つを組み合わせて構成されています。

それでは、まずこの3つの分類について順番に見ていきましょう。

 


形状による分類

Li-ion 2次電池は、外装の形状によって大きく3種類に分類されます。

●乾電池のような円筒状金属でおおわれた形状の 円筒形セル(Cylindrical Cell)

●四角い金属で覆われた形状の 角形セル(Prismatic Cell)

●パウチで包んだ形状の パウチセル(Pouch Cell)

3種類の分類になります。

 

円筒形セル(Cylindrical Cell)

主に丸い金属缶(スチールやアルミ)で覆われていて、乾電池のような外観です。

特徴:金属ケースのため衝撃や内圧に強く、自動生産に適しているため低コストで製造できます。

用途:ノートPC、電動工具、EV(一部メーカー)、モバイルバッテリー、ポータブル電源など

 

角形セル(Prismatic Cell)

四角い金属ケース(主にアルミ)に収納されています。スマートフォンなどではあまり見かけませんが、EVや産業用途では広く採用されています。

特徴:容積効率が良い。大容量化しやすい。EV(電気自動車)などでも多く採用されています。

用途:EV(電気自動車)。産業機器。蓄電池。カメラバッテリーなど

 

パウチセル(Pouch Cell)

アルミラミネートフィルム(パウチ)で封止した形状です。(金属缶ではありません)

特徴:軽量。薄型。自由な形状にできます。少ない製造Lotから対応できます。

用途:スマートフォン。タブレットPC。モバイルバッテリー。ドローン。イヤホンなど

リチウムイオンポリマー2次電池の多くはパウチセルを採用しています。そのためパウチセルのことを「Li-ion Polymer 2次電池」と呼ぶ場合が多いです。

 

ただし、パウチセルだから「Li-ion Polymer」、円筒セルだから「Li-ion」というわけではありません。これらはあくまでも外装形状の違いです。

ここまで説明した3種類は、あくまでもセルの「形状」による分類です。

次は、「三元型リチウム」や「リン酸鉄リチウム」といった名称にも関係する、「正極材料による分類」について説明します。

 


正極材料による分類

2次電池の内部は図に示すように 正極、負極と呼ばれる電極と電解液で構成されます。

 

 

電極には、正極と負極があります。

そしてLi-ion 2次電池は正極の材料で分類するのが一般的です。

正極材料で分類すると主に

  • LCO(コバルト酸リチウム)
  • NMC(三元系リチウムNi-Mn-Co)
  • NCA(三元系リチウムNi-Co-Al)
  • LFP(リン酸鉄リチウム)

に分類されます。それぞれの特徴を説明します。
※このほかにも、マンガン酸リチウム(LMO)などの正極材料がありますが、本コラムでは代表的な正極材料に絞って紹介します。

 

LCO(コバルト酸リチウム)

LCO(コバルト酸リチウム)は、Li-ion電池の正極材料として古くから実用化され、スマートフォンやノートパソコンなどの小型民生機器で広く採用されてきた正極材料です。

高いエネルギー密度を実現できることが最大の特徴で、小型・軽量化が求められる機器に適しています。

一方で、より高い安全性や長寿命を実現するため、それぞれ異なる役割を持つ複数の元素を組み合わせたNMCNCAなどの正極材料が開発されました。

 

NMC(三元系リチウムNi-Mn-Co)

NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)の3種類の金属を組み合わせた正極材料です。

※「三元系」とは、3種類の金属元素を組み合わせた正極材料のことです。

LCOの課題であった安全性や寿命の改善を目的として開発されました。

3種類の金属はそれぞれ異なる役割を担っています。

  • ニッケル(Ni):高いエネルギー密度を実現
  • マンガン(Mn):結晶構造を安定化し、安全性や寿命を向上
  • コバルト(Co):充放電性能や導電性を向上

それぞれの長所を組み合わせることで、高いエネルギー密度、安全性、寿命のバランスに優れた正極材料となっています。

現在では、電気自動車(EV)をはじめ、スマートフォンや蓄電池など幅広い用途で採用されている代表的な正極材料です。

 

NCA(三元系リチウムNi-Co-Al)

NCA(ニッケル・コバルト・アルミニウム)は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)の3種類の金属を組み合わせた正極材料です。

NMCをベースに、**マンガン(Mn)の代わりにアルミニウム(Al)**を採用することで、NMCよりも高いエネルギー密度を重視して開発されました。

3種類の金属はそれぞれ異なる役割を担っています。

  • ニッケル(Ni):高いエネルギー密度を実現
  • コバルト(Co):充放電性能や導電性を向上
  • アルミニウム(Al):結晶構造を安定化し、高温特性や耐久性を向上

高いエネルギー密度を実現できることから、電気自動車(EV)や高容量バッテリーなどで採用されています。

一方で、高性能である反面、製造技術や温度管理が重要となる正極材料でもあります。

 

LFP(リン酸鉄リチウム)

LFP(リン酸鉄リチウム)は、リン(P)、鉄(Fe)、酸素(O)からなるリン酸鉄(LiFePO₄)を正極材料に使用したLi-ion 2次電池です。

最大の特徴は、高い安全性と長寿命です。

リン酸鉄は熱的に非常に安定しているため、過充電や高温環境でも熱暴走が起こりにくく、安全性に優れています。また、充放電を繰り返しても劣化しにくく、長期間使用できることも大きな特徴です。

一方で、LCONMCNCAと比較するとエネルギー密度はやや低く、同じ容量を実現するためにはセルが大きくなる傾向があります。

近年では、安全性や長寿命を重視する用途が増え、LFPを採用した電気自動車(EV)、ポータブル電源、蓄電システムなど様々な製品が増加しています。

 

 

正極材料による分類を纏めてみます。


(クリックすると別画面で大きく開きます)

※この表はあくまで正極だけの安全性であり、安全性は正極材料だけでは決定しません。

 

次は、「Li-ion Polymer 2次電池」や「準固体2次電池」といった名称にも関係する、「電解質による分類」について説明します。

 


電解質による分類

電解質による分類は、次の種類になります。

・Liーion液体電解質

・Li-ion Polymer

・準固電解質

・全固電解質

各々説明します。

 

Li-ion液体電解質

「Li-ion液体電解質」は、現在最も広く使用されているLi-ion 2次電池の主流な電解質です。
液体の中をリチウムイオンが移動することで、電気を発生します。

 

Li-ion Polymer

「Li-ion Polymerも現在流通しているLi-ion 2次電池の主流な電解質です。

「Li-ion Polymerは、以前は「ゲル状」と説明されることもありましたが、準固体電解質との違いを分かりやすくするため、本コラムでは「スポンジ状のポリマーに液体電解質を含ませたもの」として説明します。

実際にはポリマー成分は少なく液体電解質が主体のものが多かったため、性能面も通常の液体電解質のLi-ion 2次電池と大きな違いはありませんでした。
そのため、市場で「Li-ion Polymer」と呼ばれている製品の多くは、実際にはパウチ型の液体電解質Li-ion 2次電池と考えた方が実態に近い製品が多いです。

準固体電解質

最近増えてきたのが、準固体電解質(半固体電解質)です。

準固体電解質は、「液体電解質」と、次世代として注目される「固体電解質」の中間に位置する電解質です。

液体電解質を大幅に減らし、ゲル状・ペースト状にした電解質を使用しています。

イメージとしては、マヨネーズや歯磨き粉のように、形を保ちながらゆっくり動く状態です。

液体成分が少ないため、液漏れしにくく、安全性の向上が期待されています。

固体電解質

次世代電池として期待されているのが、固体電解質(全固体電池)です。

液体電解質の代わりに固体電解質を使用していることが最大の特徴です。

可燃性の有機電解液を使用しないため、液漏れしにくく、発火リスクを大幅に低減できると期待されています。

さらに、安全性の向上だけでなく、高いエネルギー密度や急速充電性能の向上も期待されており、次世代電池として世界中で研究・開発が進められています。

各々の特徴を図に示します。


(クリックすると別画面で大きく開きます)

 

 


まとめ

Li-ion 2次電池は、「形状」「正極材料」「電解質」の3つを組み合わせて構成されています。

例えば、

  • 円筒型 + NMC(三元系リチウム)+ 液体電解質
  • パウチ型 + LCO + Li-ion Polymer

といった組み合わせがあります。

さらに近年では、

  • セラミックコートセパレータ
  • 難燃性電解液
  • 安全添加剤

など、安全性を高めるための新しい技術も組み合わせて採用されるようになっています。

Li-ion 2次電池は一見すると同じように見えますが、形状や材料、電解質の組み合わせによって性能や安全性が大きく異なります。

今回のコラムを通して、それぞれの違いや特徴を知るきっかけになれば幸いです。

 

 


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