パススルー充電は便利なのか?

パススルー充電って?
パススルー充電には、実はメーカーや製品によってパススルーの仕組みは異なり明確な定義がありません。
Pass Through=通過する充電ということで、
一般的には、【USB充電器】-【モバイルバッテリー】-【スマートフォン】と接続した際に【モバイルバッテリー】をスルーして【スマートフォン】を充電することを意味します。
今回はこの パススルー充電の仕組み とそれが 便利なのか? について説明します。
パススルー充電の仕組み
まずパススルー充電の仕組みを解説します。
先ほど説明したように Pass Through=通過する充電 で示すように【モバイルバッテリー】をスルーして【スマートフォン】を充電することを意味します。
これにはいくつかの方式が存在します。
1.【分配型】
入力された電力を内部で2つに分岐し、スマートフォンを優先して充電し残った電力でモバイルバッテリーを充電します。
2.【素通り型】
入力された電力を、モバイルバッテリースルー(迂回)してスマートフォンを優先して充電します。
スマートフォンが100%になると、モバイルバッテリー本体の充電が始まります。
3.【充放電同時型】
入力された電力をモバイルバッテリーに充電。同時にモバイルバッテリーからスマートフォンへ充電します。

各々について説明します。
1.【分配型】
弊社製品でも一番多いのが【分配型】です。
- 両方の充電が同時に進む
「スマートフォンの充電が100%になるまでモバイルバッテリー本体の充電が始まらない」ということがなく、最初から両方に電力が回るため朝起きたときにどちらも残量が増えています。 - モバイルバッテリーの寿命を縮めにくい
入力をモバイルバッテリー内部のIC回路(基板)で、 ”スマートフォン” と ”モバイルバッテリーの内部電池” に分けて出力します。
そのためモバイルバッテリーの電池は「充電しながら放電する」状態になりません。モバイルバッテリーの内部電池の発熱や劣化を大幅に抑えられます。 - 制御が柔軟(スマートフォン優先制御)
スマートフォンが電池切れに近いときはスマートフォンへ多めに電力を割り振り、スマートフォンが100%に近づくと、自動的にモバイルバッテリー本体側への充電量を増やすといった効率的な電力配分をすることも可能です。
- 充電スピードが低下する
USB充電器からの入力を2つで分け合うため、スマートフォン・モバイルバッテリー各々単体で充電するときに比べて充電が遅くなります。 - 高出力な充電器(W数が大きいもの)が必要
例えば出力の弱い充電器(5W〜10W程度)を使うと、分配された電力が小さすぎてスマートフォンしか充電されず、モバイルバッテリー本体の充電が実質ストップしてしまうことがあります。十分な効果を得るには20W〜30W以上の高出力充電器が必要です。 - 価格UP
電力を安全かつ効率的に分配する複雑な制御IC回路が必要になるため、単純な【充放電同時型】の製品に比べて価格がやや高くなりやすい傾向があります。
【分配型】は、スピードが少し犠牲になるものの、「安全性とモバイルバッテリーの寿命を保ちながら、2台同時に充電を進められる」バランスの取れた方式です。現在の高品質なモバイルバッテリーの多くがこの方式を採用しています。
2.【素通り型】
- スマートフォンを最速で充電できる
入力を2つに分けず、まずはスマートフォンに100%集中して出力します。そのため【分配型】のようにスマートフォンの充電スピードが落ちません(急速充電の規格もそのまま維持されやすいです)。 - モバイルバッテリー本体の劣化・発熱が少ない
スマートフォンを充電している間、電気はモバイルバッテリーの内部電池を「迂回(バイパス)」して素通りします。スマートフォンの充電中にモバイルバッテリーの内部電池が充放電を行わないため、発熱を抑え内部電池の劣化を防ぐ効果があります。
- 「完全な同時充電」はできない
入力を”スマートフォン” と ”モバイルバッテリーの内部電池” に分配するわけではないため、スマートフォンとモバイルバッテリー本体の両方を同時に充電することはできません。 - モバイルバッテリー本体の充電完了が遅くなる
「スマートフォンが満充電になってからモバイルバッテリー本体の充電が開始する」という方式のため、モバイルバッテリー本体が100%になるにはトータルで一番時間がかかります。 - 短い時間だとモバイルバッテリー本体が充電されない
「30分だけコンセントに挿しておく」といった場合、スマートフォンの充電だけで終わってしまい、モバイルバッテリー本体の残量は充電されないままということが起こります。
【素通り型】は、スマートフォンとモバイルバッテリー本体の両方を同時に充電の手軽さには欠けるものの、「スマートフォンの充電速度を最優先したい」「モバイルバッテリーの寿命を長持ちさせたい」という場合に優れている方式です。
ノートパソコン向けモバイルバッテリーや高出力ポータブル電源、モバイルバッテリーの耐久性を重視する高級モデルなどで用されています。
3.【充放電同時型】
- 製品価格が安くできる
複雑な電力分配IC回路を搭載する必要がないため、回路設計が非常にシンプルです。そのため、低価格なモバイルバッテリーに採用されやすいです。 - どのような状態からでも両方の充電が始まる
USB充電器に接続すると、スマートフォンとモバイルバッテリー本体の両方への充電が同時にスタートします。
- モバイルバッテリーの劣化が早くなる
モバイルバッテリーの内部電池は、「モバイルバッテリー自身の充電」と「スマートフォンの充電」を同時に行います。
そのため「自身の充電による発熱」と「スマートフォンへの放電による発熱」が同時に発生し、モバイルバッテリーの内部電池の発熱が大きくなる場合があります。。熱はリチウムイオン電池の天敵であり、内部電池の劣化や膨張や性能低下の原因になります。 - エネルギーの変換ロス(無駄)が多い
「USB充電器の電気 ➔ モバイルバッテリーの内部電池の電気 ➔ スマートフォンの電気」と二重に変換するため、途中で熱として逃げる電力が多く、充電効率が悪くなります。
【同時充電型】は、コストを抑えて手軽に同時充電を実現できる反面、「モバイルバッテリー本体の寿命を削りながら動く」という代償があります。
そのため、MOTTERUでは【同時充電型】を避け、【分配型】を主に採用しています。
パススルーは便利?
パススルー充電が便利な点や問題点を具体的に説明します。
- コンセントやUSB充電器が1つで済む
カフェや旅行先のホテルなどコンセント差込口が少ない場所やUSB充電器が一つしかない場合に重宝します。 - 充電の手間が省ける
パススルー充電を使えば、接続を変える必要がありません。就寝時にセットしておけば朝にはスマートフォンとモバイルバッテリーの両方を満充電にすることも可能です。
- 発熱と劣化
充電と給電を同時に行うため発熱し製品の劣化を促進しやすいです。
また、パススルー充電を連続で使用し続けたりすることも、発熱の要因になりモバイルバッテリーの劣化が早まる原因になることがあります。 - 非対応モデルで無理にやらないようにしましょう。
モバイルバッテリーの劣化が早まる原因になります。 「パススルー充電対応」の記載を必ず確認してから実施しましょう。
※取扱説明書に『充電と放電を同時に行わないでください』のような記載が無いかも確認してください。 - 充電時間が遅くなる
パススルー充電は急いで充電をしたい場合にはお勧めしません。各々単独で充電した方が、場合によっては2倍程度早く充電できます。
メリットは使ってみると実感できると思いますので、デメリットに関して詳しく説明してみます。
パススルー充電のデメリット詳細
パススルー充電は、モバイルバッテリーの内部電池の劣化を促進する場合があります。
それは、外部スマートフォンへの電力供給 と モバイルバッテリーの内部電池への電力供給 の2つを同時に行うからです。
外部スマートフォンへの電力供給で発生する発熱 と モバイルバッテリーの内部電池の電力供給で発生する発熱 2つが同時に発生するため発熱が大きくなる可能性があります。
パススルー充電で発生した発熱によりモバイルバッテリーの内部電池の劣化を促進する場合があります。
※発熱の程度は製品により異なります。
パススルー充電は、スマートフォンとモバイルバッテリーを個別で充電しそれらを足した時間より遅くなることがあります。
ここで、MOT-MBSS10002を例にiPhone 17 Pro Maxを 各々個別で充電、パススルー充電 した時間を比較してみましょう。、
条件は下記です。
iPhone 17 Pro Max
まず、各々個別で充電した際の充電時間です。
MOT-ACPD65WU1のUSB-C出力でiPhone 17 Pro Maxを充電:約1時間40分で100%充電

MOT-ACPD65WU1でMOT-MBSS10002を充電:約1時間50分で100%充電

合計すると 1時間40分+1時間50分 で 3時間30分です。
MOT-ACPD65WU1でMOT-MBSS10002とiPhone 17 Pro Maxをパススルー充電してみます。
MOT-MBSS10002は、Type-C1ポート、Type-A1ポートのPD30W 10000mAhの一般的なモバイルバッテリーです。
この場合、パススルー充電をするとType-Cが入力でUSB充電器と接続。Type-Aが出力でスマートフォンと接続 となります。

では、MOT-MBSS10002を例にiPhone 17 Pro Max をパススルー充電した時の時間を測定してみましょう。
パススルーですが以下の手順で行います。
・MOT-MBSS10002が0%だとパススルー充電することが出来ないため、MOT-MBSS10002は10%の残量を残した状態からスタートします。
・MOT-MBSS10002のUSB-AポートとiPhone 17 Pro Maxを接続し充電スタート。
・その後、MOT-ACPD65WU1のUSB-C出力とでMOT-MBSS10002のUSB-Cを接続します。
結果は、
パススルー充電でiPhone 17 Pro Maxを充電した時間:約3時間40分で100%充電

パススルー充電でMOT-MBSS10002を充電した時間:約4時間20分で100%充電

結果のまとめです。
・iPhone 17 Pro Maxの充電時間
各々個別で充電:1時間40分
パススルー充電:3時間40分
で2倍以上かかります。
これは、各々個別で充電はUSB-CでPD30Wで充電、パススルー充電はUSB-Aで7.5W充電になる。この違いによります。
・MOT-MBSS10002の充電時間
各々個別で充電:1時間50分
パススルー充電:4時間20分+α(10%からスタートしたので+αとします)
これは、各々個別で充電はUSB-CでPD30Wで充電、パススルー充電はスマートフォンと同時充電(両方合計の時間になる)の違いです。
・両方の合計時間
各々個別で充電:1時間40分+1時間50分=3時間30分
パススルー充電:4時間20分+α(10%からスタートしたので+αとします)
となりました。+αを10分くらいと仮定すると約1時間増加です。
(MOT-MBSS10002は、パススルー充電でも充電時間が短い方だと思います。)
このように、パススルー充電を行うより、各々個別で充電した方が早く充電できる結果となります。
パススルー充電より、複数PortのUSB充電器で充電した方が充電時間は短くできるので、私はこちらをお勧めします。
USB充電器 PD67W 3ポート USB-Cx3 急速充電 PSE適合製品 (MOT-ACPD67C3)

パススルーを意識した製品
パススルー充電することを意識した設計のモバイルバッテリーもあります。
弊社製品ですと
これらの大容量モバイルバッテリーは、パソコンを意識した設計で USB-C×2、USB-A×1 出力を所有しています。
USB-C入力でモバイルバッテリーを充電しながら、USB-C出力でスマートフォンをパススルー充電できます。
スマートフォンの充電時間は、通常の充電(パススルーではない)と同程度です。
モバイルバッテリーも比較的早く充電できます。
※大容量モバイルバッテリーでもMOT-MB20001はUSB-C×1、USB-A×1なのでパススルー充電は遅くなります。
また、ACコンセント入力のモバイルバッテリーは、ACコンセント入力でスマートフォンを充電することが目的のため、【素通り型】に近い充電が可能です。
弊社製品ですと
これらの製品もACコンセント入力でモバイルバッテリーを充電しながら、USB-C出力でスマートフォンをパススルー充電します。
スマートフォンの充電時間は、通常の充電(パススルーではない)と同程度です。
モバイルバッテリーも比較的早く充電できます。
これらの製品は少しお値段も高くなりますが、パススルーを重視する方にお勧めです。
まとめ
パススルー充電は、コンセントやUSB充電器のポートが一つしかない時や、スマートフォンの充電が終わった後にモバイルバッテリーに接続しなおす必要が無いなど便利な機能です。
しかし、充電を急ぐ時などは個別で充電した方が短い時間で充電が出来るなどパススルー充電しない方が便利なこともあります。
ご利用のシチュエーションやパススルーに向いたモバイルバッテリーか?など検討をしてご利用いただければと思います。
MOTTERUのUSB充電器やモバイルバッテリーは、製品企画、設計段階の仕様のチェック、動作テストを日本国内で行っており安心・安全にお使いいただけます。
今回、ご紹介したのは以下の商品です。
Power Delivery65W対応 USB-C×1ポート USB-A×1ポート 合計最大63W USB充電器(MOT-ACPD65WU1)

USB充電器 PD67W 3ポート USB-Cx3 急速充電 PSE適合製品 (MOT-ACPD67C3)

準固体モバイルバッテリー 10,000mAh PD30W USB-Cケーブルストラップ付 (MOT-MBSS10002)







