RoHS指令(ローズ指令)とは?規制対象も詳しくチェック!

「RoHS指令(ローズ指令)」を知っていますか?EU圏内で発令された特定の有害物質を制限する法令で、電気・電子機器を製造する場合10項目の物質が規制対象となります。
RoHS指令は欧州連合(EU)が制定した法的規制で、EU加盟国とEU、関税同盟や2国間協定を結んでいる国に適用されるものです。日本の消費者に大きな影響はありませんが、EU圏に商品を流通させている事業者は、RoHS指令を守らなければなりません。
この記事ではRoHS指令について、具体的な規制内容や似ている規則、国内への影響について解説します。
RoHS指令(ローズ指令)って何?いつ、なぜ制定されたの?
RoHS指令と他の混同しやすい指令との違いとは?
RoHS指令の規制対象にはどんなものがあるの?
RoHS指令と日本の関係や対応は?
RoHS指令(ローズ指令)って何?いつ、なぜ制定されたの?
RoHS指令は「Restriction of Hazardous Substances」の略で、電気・電子機器を製造する際の特定有害物質を制限するためのものです。2003年2月に通称“RoHS1”として制定され、2006年7月より施行されました。2011年に改正となり、通称“RoHS2”として交付されました。
RoHS1では有害物質として6項目が指定されていましたが、RoHS2では4項目が追加され、合計10項目となり現在に至ります。
RoHS指令によって発生する義務
RoHS指令によって、この指令が発令されているEU圏内に商品を流通させる生産者・サプライチェーンに関わる生産者・輸入者・販売者に以下の義務が発生します。
- RoHS指令への適合性評価の実施・適合宣言をして、流通させる製品にCEマークを貼り付ける。適合性を証明する根拠を技術文書で明記して10年間保管すること
- 適合維持管理および設計変更、整合企画に変更があれば適切に対処すること
- 製造番号などの製品を識別するために必要な情報や製造者名、登録商標、住所、連絡先を製品・放送・添付文書に記載すること
- 流通後に不適合が発覚した場合、製品をリコール・加盟国の当局に直ちに通知すること
1で記載されている「CEマーク」とは、商品がすべてEU加盟国の基準を満たす製品のみにつけられる基準適合マークです。これを表示するためには、製品ごとに該当するEU法令を調査・確認し、EU指令に適合していることを証明しなければなりません。
RoHS項目で禁止されている物質10項目
RoHS指令によって禁止されている有害物質とその規制濃度は、以下の通りです。
禁止物質 | 規制濃度(閾値) |
鉛 | 0.1wt%(1,000ppm) |
水銀 | 0.1wt%(1,000ppm) |
六価クロム | 0.1wt%(1,000ppm) |
PBB(ポリブロモビフェニル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
カドミウム | 0.1wt%(100ppm) |
DEHP(フタル酸ジニエチルへキシル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
BBP(フタル酸ブチルベンジル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
DBP(フタル酸ジブチル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
DIBP(フタル酸ジイソブチル) | 0.1wt%(1,000ppm) |
RoHS指令では、上記の化学物質を含む製品を製造する場合、それぞれで決められた規制濃度を守らなければなりません。そして、規制濃度以下で製造していることを文書などで証明する義務があるのです。
上記の規制濃度を見るとわかる通り、「カドミウム」のみ規制濃度が低く、厳しく規制されています。
これはカドミウムの危険性が影響しており、長期間にわたり一定濃度以上を摂取すると、腎臓や肺への健康被害リスクが懸念されるためです。代替物質の研究を促進すべきであり、カドミウムは代替物質が存在しない場合にのみ限定的に使うこととしています。
上記の物質が含まれている電気・電子機器は意外と多いのです。後ほど具体的な製品を紹介しますので、気になる方はぜひご参照ください。
RoHS指令が制定された背景とは
RoHS指令が制定された背景には、有害物質による環境汚染や人体への影響が挙げられます。私たちの生活を豊かにするために日々電子・電気製品が製造されていますが、化学反応を起こして生成された化学物質の中には、人体や環境に有害なものも存在します。
EU圏内では、1990~2000年代にかけて産業廃棄物の不適切な処理が横行しており、地下水の汚染などが問題視されていました。
そこで有害物質の使用を制限することで電気・電子機器のリサイクルを促し、埋め立てや焼却処分時に人や環境に悪影響を与えないことを目的として制定されたのが「RoHS指令」なのです。
日本では「有害物質使用制限指令」と呼ばれ、電気や電子機器の廃棄物の急増・機器に含有される有害物質による健康・環境被害の対策を行っています。
RoHS指令と他の混同しやすい指令との違いとは?
EU圏で発令されている「RoHS指令」ですが、他にも「REACH規制」や「WEEE指令」があり混同しやすくなっています。
RoHS指令、REACH規制、WEEE指令はどれも電気・電子機器に対する法的規制であり、簡単に言うと以下の違いがあります。
- RoHS指令…特定の10項目の有害物質について使用を制限する法的規制
- REACH規制…化学物質全般における登録・使用を制限する法的規制
- WEEE指令…電気・電子機器を適切に分別して回収し、リサイクルを促進する法的規制
ここではRoHS指令と混同しやすい、REACH規制とWEEE指令について順番に解説します。
REACH(リーチ)指令は化学物質全般の登録や認可を規制する
REACH指令とは、「Registration(登録), Evaluation(評価), Authorization(認可) and Restriction(制限) of Chemicals」の略であり、化学物質の登録や評価・認可・制限を目的としています。RoHS指令とは違い、有害物質の使用を制限するものではありません。
またRoHS指令は10項目の特定有害物質が対象ですが、REACH指令は化学物質全般を対象としており範囲がかなり広い点が大きな違いです。REACH規制は化学物質の生産・使用・廃棄までのサイクルを通じて、人体や環境への悪影響を最小限に抑えることを目的としています。
REACH規制は以下4つの義務が課せられています。
- 物質の登録義務:年間の製造輸入量が1トンを超える場合、新規・既存化学物質問わず欧州化学品庁(ECHA)への登録を行う
- 認可申請義務:認可対象候補物質(CL物質)する場合、取扱量が1トン未満でも欧州化学品庁(ECHA)の認可を得る必要がある。
- 使用制限義務:制限対象物質に対し制限対象物質ごとに用途や濃度、除外適用時期などの各種条件が設定されており、これに準拠しなければならない。
- 情報伝達義務:危険有害物質や混合物を取り扱っている場合、製造工程で上流を担う企業は、下流を担う企業へ安全性データシート(SDS)によって情報を伝達する義務がある。認可対象候補物質(CL物質)が成形品中に0.1wt%を超えて含有されるばあい、下流を担う企業または消費者から要求がある場合は45日以内に無料で安全に使用できる情報を提供すること
WEEE(ウィー)指令は廃棄やリサイクルに関する法的規制
WEEE指令は、「Waste Electrical and Electronic Equipment Directive」の略です。“Waste”とある通り、有害物質を規制するRoHS指令とは違い、廃棄にフォーカスした法的規制となっています。
WEEE指令は、RoHS指令と同じく2003年に制定されました。冷蔵庫などの温度交換装置、スクリーンやモニター、照明機器(フィラメント電球を除く)、大型機器、小型機器、小型IT・通信機器において、生産者に以下4つの義務を課しています。
- 管轄加盟国当局への登録
- 各生産者が個別または共同スキームでのWEEE処理システム構築
- 再利用、解体、リカバリーに配慮した製品設計
- 製品の使用者はWEEE処理施設に対する情報提供やゴミ箱マークの製品への添付
WEEE指令は生産者や製造者に限らず、商業ベースで輸入するものや他のサプライヤー製品を自社ブランドで再販するものなど範囲が広い点も特徴です。国によってより規制を厳しくすることもできるので、対象国での規制内容を確認する必要があります。
RoHS指令の規制対象にはどんなものがあるの?
RoHS指令が規制している特定の有害物質を含む製品は、以下が挙げられます。
禁止物質 | 対象製品(例) |
鉛 | 塩ビ被覆配線コード など |
水銀 | 乾電池・水銀体温計 など |
六価クロム | ナット・ネジ など |
PBB(ポリブロモビフェニル) | プリント基板・自動車部品・断熱材 など |
PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル) | 難燃剤 など |
カドミウム | 顔料・メッキ・蛍光体 など |
DEHP(フタル酸ジニエチルへキシル) | 農業用ビニルフィルム・電線被覆材 など |
BBP(フタル酸ブチルベンジル) | 建築や窓枠のシーリング材の可塑剤 など |
DBP(フタル酸ジブチル) | 合成樹脂の可塑剤・ラッカー など |
DIBP(フタル酸ジイソブチル) | プラスチックの柔軟剤など |
RoHS指令と日本の関係や対応は?
RoHS指令は製造販売する事業者向けのものであり、EU圏に商品を流通させるすべての事業者が対象となります。
日本の企業も例外ではありません。RoHS指令が発令された2003年以降、国内でも環境活動の一環として、EU圏内に出荷していなくても環境に配慮した商品製造を行う企業が増えています。
RoHS指令はEU圏内で発令したものであり、国内に大きな影響はありません。しかし環境保護や人体への影響から、RoHS指令が国内で発令されたり、RoHS指令に似たものが発令されたりする可能性は十分にあり得ます。そうなると、国内でしか製造販売していない商品も対象となります。
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